トップへ戻る

税理士にインタビュー 起業時のいい税理士の見つけ方

税理士が語る「間違いだらけの会社設立」大熊朋子

大熊朋子(おおくまともこ) 1999年、明治大学商学部卒業。以後、2002年の税理士試験合格まで、専門商社の財務部、フードコーディネーターのアシスタントなどを経て税理士事務所の担当者として活躍。
勤務税理士時代には、法人40件、個人10件の税務会計担当に加えて、贈与税・相続税などの資産税関連業務、社団法人などの公益法人会計業務、小児科などの医療会計業務、決算分析・キャッシュフロー分析などの経営分析業務など、税理士事務所のほぼ全ての業務の経験を積み、2009年独立開業。
現在は、新規開業支援や税務会計支援だけでなく、マーケティング支援(増販増客支援)などの「一歩踏み込んだサービス」を展開する税理士事務所として、多くのクライアントに支持されている。
プライベートでは、来春小学校に入学する男の子を持つ一児の母でもある。

大熊朋子税理士事務所のホームページはこちら http://www.ookuma-tax.com/

大熊朋子税理士事務所の大熊朋子先生に起業家が会社設立時にスタートアップの起業家の「よくある間違い」や「勘違い」について聞いてみました。また、大熊先生自身の起業時の体験をインタビューさせていただきました。
(インタビュアー ワンストップビジネスセンター、ディレクター安田知世)

顧問税理士・会計事務所の見つけ方

安田税理士さんはどうやって探したらよいのですか?と会員さんはじめ起業前後の方によく聞かれるのですが、先生はどう思いますか?

大熊そうですね、今いろんなホームページとかも多いので、選ぶ基準がわからないといえばわからないですよね。私は、客観的には税理士業界とかを見たことはないので、参考になるかどうかわからないのですが、最近は古い会社さんが潰れていくので新しい会社さんを育てようみたいな意識の事務所さんがすごく多いので、皆さん新規のお客さんはウェルカムな体制なんですけれど、やっぱり昔のイメージだったりとか士業っていう、国家資格みたいな、しかも税理士は税金の計算する人!って感じられていると、年代も上に感じてたりとか、敷居が高い感じがあるかもしれませんね。近い年齢だったりとか、同世代の方を選ぶというのはまずはいいかもしれません。

安田たしかにそうですね。まずは同世代がいいですよね。親身に話すことができますよね。それ以外に、ホントに初歩的な点だと、税理士さんを選ぶポイントって何だとおもいますか?

大熊明確に自分のレベル感というか、経理・会計・経営の知識とかのレベル感によって選ぶ相手が違うかなと思うんですよね。例えば、『ある程度経理がわかる、簿記がわかって会計がわかって、お金の流れは全部こういう仕組みなってる、結局1年に1回決算して、法人税とか地方税を納めて、でもそれ以外に給与からの源泉を納めるとか三期目とかになったら消費税を納める』とか、色々細かい仕組みがあるじゃないですか、償却資産税の申告とか、年末調整とか、給与計算どうするの?とかそういう細かい業務がいっぱいあるものを、なんとなくでもお客さん自身でわかるのか、全くわからないのかによって選ぶ相手が違うかなと思いますね

安田うーん、なるほど

大熊インタビュー風景ある程度ご理解があるのであれば、ほんとにコスト重視で、顧問契約をされる税理士事務所にはパーツだけをやってもらうのが良いと思います。月末を過ぎたら事務所側から資料を提出して、指示した通りに作業をしていただいて、帰ってきたものを自分でチェックできるというか、そういうことができるのであればもうホントに実作業面だけをお手伝いしてもらうという選択がいいと思います。

大熊もし、まだそのような知識が全然なくて、不安だというのであれば、相談しやすい相手って言うのが大事だなと思うんですよね。そうするとさっきも言ったとおり同年代だったり、例えば性別も女性の方が相談しやすいと感じるのか、たとえば逆に女性だとかしこまっちゃうから相談しづらいとか、要は人間としてお付き合いしやすいかどうかが大切だと思います。女性の経営者さんとかでも女性の税理士を好むとは限らないんですよね。男性の方が頼れそう、自分なりのイメージというか好き嫌いなので、最終的には本当に相談しやすさ、会ってみて話しやすいとか、フィーリングが合うかどうかみたいな点で決めるのがよいと思います。

安田なるほど、そういう観点が大切なんですね。

大熊あった方がいいですね、その方が関係が長続きします。

大熊最終的にはフィーリングなんですよ

安田フィーリング。なるほど。じゃぁ紹介してもらうのが一番良いですかね?人間性を知ってますよね?

大熊そうですね、紹介をしてもらって、お会いして自分で決めるのがやはり一番だと思うんですよね

大熊紹介していただいたら、会ってみて、『だめなら断る前提で会う』のが一番だと思いますね。なんとなく紹介されちゃうと断りづらいところも出てくるので

安田あらかじめ断る可能性もあるよ!というくらいの気持ちで紹介を受けたらよいのですね。

大熊そうそう、それくらいの前置きというか気持ちで選んだほうがいいと思います。

安田なるほど

大熊自分がゆくゆく会社の中を割と赤裸々に見せるので、見せてもいいなと思える相手であって、話すことが厭じゃない相手であることが大切です。

安田では価格の安い会計事務所を見つけようと思ったら、どのようにして見つけたらよいですか?

大熊相見積もりをたくさん取ることです。それで価格重視に対応できないような事務所さんは相見積もりで金額出してもらうことがコツです。『他社さんはこのくらいでした』と言った時に『いや、うちはそれ以上下げられない』っていう事務所さんであれば、ここは価格重視じゃない、そういう対応をしていない事務所さんということわかりますので。

安田税理士さんをうまく断る場合はどうしたらよいですか?

大熊それはですね、『親族で開業する税理士さんがいたので』と言うのがわかりやすいと思います。

安田なるほどですね

大熊実は親族でのおじさんの子供が税理士試験に合格して独立するらしくて・・・みたいな事を言われると税理士は『しょうがないですね』って感じで引きさがりやすいです。それ以外のお客様でも現在契約中の税理士交代や変更したい方にもこの言い方はお勧めしています。

顧問税理士・会計事務所の見つけ方

安田僕は小さい会計事務所の方が好きなんですよ。なぜなら大きい事務所で有名な先生の事務所っというのは大概、別の方が担当になるので、トップの税理士先生以外の部下の人でいい人がいないというか、、、、、。運任せというか。

大熊それが会計事務所の永遠の課題なんですよね

大熊例えば●●商会とかの大企業の場合を考えてみてください。シャープのコピーのメンテナンスとかの仕事は、誰が担当しても大体サービスって均一じゃないですか?それなりの応対のマニュアルがあったり研修を受けてる人が来るので、●●商会の山本さん、佐藤さんみたいな感じで、そんなに担当が変わったからといっても、●●商会を利用するのを辞めようという感じにはならないですよね。でも、もしそれが会計事務所だと、大熊会計の山本さんが大熊会計の佐藤さんにかわると、なにか違和感があって変えたくなるというのがあるんですよね。

安田そうなんですよ。僕も何人もの会計事務所の先生方とお付き合いしましたけど、仕事ができる先生ってやっぱり拡大志向になっていって、当然成長していきますから、事務所が大きくなっていき、実際に所長の先生から担当制に変わってしまうことが多いんです。そうすると『もう、顧問契約やめよう。って感じになってしまうんですよ

安田もちろん、大きくなっても良い人材がいらっしゃればいいんですよ。先生とは違うけど先生のビジョンとか理想とかやりがいとかを理解してて、同じ血というかDNAを引きついでいるというか。。

大熊同じような応対ができるって事ですよね。

安田そうそうそう。

安田だって担当が変わっても、同じ価格じゃないですか。

大熊そうなんですよ

安田下がるならいいですよ、例えば僕は今ジムに通ってるんですが、トレーナーによって値段が違うんですよ。レベルが違うなら価格の違いは納得できるじゃないですか?基本の会費は全員一緒なんです。でもその毎回担当してくれる先生によって都度、値段が違うんです。僕は三千円でいい、四千円でいい、八千円の人という風に会員は好きな価格帯を選べるわけです、だから納得して払ってるわけですけど、会計事務所って五万円って言われたらボスがやるのも五万円だし、入りたての担当者がやるのも五万円じゃないですか

大熊なるほど。美容室でもランクによって値段違いますものね。ちょっとその価格を変えるのは面白いかもしれないですよね。そういう仕組みも必要かもしれないですね

安田また、小さい会計事務所って結構離職率高くないですか?

大熊高いです。

安田高いですよね、それでコロコロ変わるんですよね。

安田それで会社や事業の内容とかをまた説明することになったりとか、手間がかかるのがいやですね。

大熊そうですね。説明しなきゃいけないというそこの段階があってはいけないわけですよね。大熊会計として例えば受託してるのであれば担当者が代わってもいままでの履歴だったりとか、やり取り、やり方というのは完全に引きついでおなじような知識レベル、記憶レベルで応対できないといけないんですよね。

安田ちょっと話が脱線してしましましたが、話を戻すと僕はそのような理由で小さい会計事務所の方が好きというか、あとは余計な固定費がかかってないから当然安いですし。

安田あとはやはり先生の人間性の部分が大きいですね。

税理士、会計業界の統一のルールってあるの?

安田基本的には価格とか、お支払方法とかそういった部分の業界の統一のルールはあるんですか?

大熊インタビュー風景昨今、無くなっちゃったんです。価格も自由競争なりました。大体契約は1年間で、契約は1年経過時に自動更新のような契約書が多いので、1年は試してみるというか、もしその1年間で良ければ、更新していただいても良いですし、嫌なら変えるという選択肢もあります。ただし、変えるときにもう一回新しい事務所に会社や事業の説明もしないといけないので手間はかかりますが、その手間と変えた方がいいのかというところを天秤にかけて選んでいただくという感じです。なかなか最初からすごくいい人には巡り合えない気はしますね。安田さんも恐らく色々な税理士さんを見ていたり、相対した事があるので、選びやすいというかこの人なら大丈夫みたいな所はあると思うんですけど、初めて例えば今までサラリーマンをされてて、今回初めて起業して、パートナーに税理士を、アドバイザーに税理士をって思った時にそんなになかなかうまくはいかないですね。それは社員の採用と一緒で、最初に採用した人が必ずしも会社の右腕になって成長してくれるとは限らないのでその辺は割り切ってだんだんこういう人がいいというのがやっていくうちにわかってくると思います。会社の成長の段階によっても必要な税理士の資質って違うと思うので。

大熊それこそ最初は記帳代行会社さんにお願いして、決算書とかも作ってくれて、税理士のサインもないけど自分で出しに行くみたいなバージョンでもありだと思います。当然そのほうが安くなりますからね。

安田でも基本的に会計事務所さんは何でもオーダーメイドでも色々やってくれるわけですからいろいろ聴いてみるのが大事ですよね。

起業時のお客様の特徴

安田大熊先生はどういうお客さんが多いですか?

大熊やっぱり起業時の会社さんが今のところ多いですね

安田そういう方たちは何に困っていますか?どんな疑問をもっていますか?

大熊会計、経理のことが、全然わからないので、徐々に教えてください!一気に教えられちゃうと混乱してしまうというお客様ですね。ですので、記帳代行とかも、『これ送ってくださいね』とまず言って送っていただいて、これを添削して、段階を踏んで記帳代行完成させていく感じですね

大熊1期目から莫大な利益の会社さんは少ないので、2期目くらいから徐々に損益を見たり、去年との比較を見たりしながらアドバイスしていく

大熊1年目は経理業務をどのように回転させていって、ルーティンにするというレベルが割と多いです。後は税金を払うのは悪みたいな、絶対払いたくないというお客さんというかそういう考え方の人が多いので、そうじゃない!というところを浸透させるのに1年くらいかかります。もし、ある期に100%利益があった時、40%は税金で持っていかれてしまうけれども、60%は会社の財産として残るので、それを会社として蓄えていかないといけないのです。例えば5年目の会社なのに全然蓄えない状態だと銀行さんの信用もないですし、大きな取引先と取引したい時に決算書出してくださいと言われてだしてびっくりされる。5期目ですよね?みたいな感じになるとダメで、でもそれをいきなりどうこう変えることなどできないんですよね。急に体力のある会社にはできなくて、日々の積み重ねが物を言うわけです。

安田そうですね

安田決算書とかを個人とか、サラリーマンで出すことは少ないですけど会社だと結構出さないといけない事が多いですよね。

安田一般的に信用情報に登録されちゃいますしね。

大熊会社の外見はやはり決算書とかになってくるのでかっこいい決算書作りはとても大切だと思います。でもそれを理解していただくのはなかなか大変なんですよね。いくら私が『こうなってしまうと危険ですよ。』とアドバイスしても、『いや、いいです』ってよく断られます。そして、いざそうなると『あの時こうしておけばよかった!』とか後悔することになるんですけどあとからはどうしようもないんですね。

大熊じゃぁその会社を潰して、『もう一回やろうか?』みたいな話になってしまうと今度は企業1年目の会社さんとは取引できませんとかそういう取引上のしがらみがあったりとかがあるので、やはり信用を毎年着実に積み重ねていくことは非常に重要だと思いますね。

安田なるほど

大熊やはりシンプルにやるべきことはきちんとやっておくのが一番安全で自分がやりたいことを実現するための近道なのかぁと思います。

大熊先生の税理士事務所としての起業の話を教えてください。

安田大熊さんが独立したのはなぜなんですか?

大熊私の一家は税務一家なんですよ。それでやることなかったので税理士になっただけなんです(笑)

安田そうなんですか?

大熊あまり高い志もなく。でも身近だったので。

安田そうですねイメージしやすいですものね。

大熊会社さんとやりとりして色々な業種の色々なビジネス見れるのって楽しいと思ってこの世界に入ったので、ものすごい税金が好きという話でもなかったです。

大熊税理士になったんですけど、継ぐのであれば母の経営する事務所に入りなさいと言われて、母の所で長く修行していました。

安田そうなんですか?

大熊そうなんです。7年くらいですね

大熊でも、自分が経営者みたいな感じでずっとやっていたのでただ勤務しているというよりは自分が会社、自分のクライアントみたいな感じで仕事をして来ていたので、その7年間は普通に努めているよりはずっと濃い7年間ではありました。

大熊ガンジーの言葉みたいなものが寺の黒板に書いてあったのを見たことがあって、『明日死ぬと思って今日を生きろ、永遠に生き続けると思って学べ』みたいな言葉があって

安田すごいいい言葉ですね。

大熊明日生きてるかどうかもわからないし、だったら好きな事、やりたい事をお客様の為になるサービスというのを自分の考えを実現していく為には独立しかないと思いました。

安田なるほど、では独立した当初はお客さんはゼロからだったんですね。でも順調に増えて行ったわけですよね?

大熊まぁそうですね。1年目はやみくもに顧客を増やしていました。だから価格で相見積取られたらどこまでも追うという感じでしたね。

安田今何年目でしたっけ?

大熊丸2年経過して今は3年目です。

安田じゃぁ営業には困らなかったわけですよね?逆に言うと。

大熊最初は楽天ビジネスに登録して、後はホームページ作ったりという感じで集客はして言ったんですよね。後は異業種交流会行って、とりあえずわからないけど行ってみよう、それで女性の経営者の会とかもわからないけど登録してみようみたいな感じでガツガツやって行ったら時間が経過するごとに色んな人脈が広がり、ご紹介頂いたりして集客がそこそこになりました。

安田なるほど

大熊本当に私自身は営業のえの字も知らなかったので。

今後独立する税理士さんに向けてアドバイス

安田今後自分の失敗を踏まえて、事務所を設立しようという税理士さんに向けてアドバイスをいただけませんか?

大熊まず、本当に起業したほうがいいのか、同じ様な志を持つ人の所、パートナー税理士みたいな形でやっていくのがいいのかというのをきちんと見極めた方がいいと思うんですよね。2~3年前までってこういう小規模な事務所でも生き残っていけるというか普通にやっていけば普通にできる時代だったんですけど、この3年くらいでがらりと変わってきていて、大規模化が進んでいるんですよね。

大熊例えば個人事務所もネットワーク化みたいなものからM&Aを積極的にする大手の税理士法人がいて、そして全国レベルで支部があってみたいな感じで固まりつつあるんですよね。ですので、例えば外国税務に強いとか、ITに強いとか、何か得意な業種があるとかそういった尖ったもので1人の事務所でアシスタントだけ抱えてやっていくということであれば独立するのもありだと思うんですけど、良くある税理士事務所像って所長が一人いて担当者が何人かいて5人とか10人とかいて、みたいなイメージなんですけど、そういうのを目指されていると割と厳しいかなと思いますね(笑)

安田難しい?

大熊広告ひとつ打つにしても、スケールメリットがないんですよね。例えばお客様にメルマガみたいなものを導入しようとした時に、大手だと微々たる金額でもその先の収入によってはそのコストが負担になったりとかするのでじっくりと考えてからの方がいいですね。

大熊夢のない話ですいません。

安田いやいや、大丈夫です。本音でとてもいいと思います。

大熊インタビュー風景すごく変化が大きいんですよね。普通の会社も変化は大きいとと思うんですけれど、特にこの業界って今まですごく閉ざされていたものがいきなりバーッと開けられて、真っ黒クロスケが光を浴びて逃げ惑うみたいな状況ではあるんですよね。ですので、経営してる私たちも例えば10年後にどういうこの業界がどういう風に変貌しているかというのが正直見えないのです。5年後ですら見えづらいのです。

大熊グループ化する中でもやはり先程の担当者の質の違いみたいなものは永遠の課題なのでそこを統一しようというか工夫はすごく頑張って内部ではしているんです。そこである程度の規模感があって、担当者が同じ意識を持って同じようなDNAを持ってできる集団ができた時にお客様もそこを選ぶと思うんですよね。やはり事例が多い事務所の方が心配はないでしょうし、例えば私一人で具合が悪くなったら例えば路頭に迷っちゃうわけですよね、そういう危険がないのもそうですし、たとえば会社が第代わりして第代わりにピッタリな人をちゃんとあてがえるみたいなものがあったりするので、本当にそういうことが集団として実現できるのであれば多分いくつかのグループ化をしていくのかなというのがあるんですよね

安田なるほど

大熊なので本当に読めないので難しい業界ではありますね

安田まぁ、お客さんがいたら一番ベストですけどね。

大熊そうそう。だから独立しないでいまの勤めている事務所の中で上手に所長をコントロールして自分のやりたいことを実現する方が楽という選択肢もあります。ぜひ、ご自身と向き合って、じっくり考えてみてください。

安田どうもありがとうございました。大変参考になりました。